人間の手の感覚は素晴らしい。

人の手で人の体に触れると様々な情報が伝わる。
温かい・冷たい
硬い・柔らかい
乾燥している・湿っている
やせ細っている・むくんでいる
筋肉が発達している・筋肉が萎縮している
これらの情報は特に訓練していなくても誰でもわかると思う。
この情報を得ようと決めて、その情報を拾いに行こうとすれば直ちに感覚として脳に伝わる。
漠然となんとなく触れても脳には触っているという感覚だけで何も伝わらない。
他にもオステオパシーでは手で触れることでかなり細かい情報を得ている。
1.「密度」
問題のある部分は手で触れたときに中が詰まったような密度の高さが感じ取れる。
手で圧力をかけたときに奥に入っていきにくい感覚である。
これが問題のある箇所を見つけるのに非常に有効である。
2.「張力」
全身は1つの膜で包まれている。
あるところに手を置くと問題のある場所に引っ張られる感覚がある。
これを研ぎ澄ませたのがオステオパシー独特の評価法である「傾聴」である。
これは圧倒的な解剖学の知識に、繊細な触診技術を融合させた評価方法である。
3.「流れ」
人の体は60%程度水分で出来ている。
当然、体の中は常に血液・リンパ液・間質液・脳脊髄液が循環している。
感覚を研ぎ澄まし、液体の動きを感じようとすれば、「流れ」を感じることが出来る。
まだまだオステオパシーでは人の体に触れることで独特な感覚を得ている。
いつから現代医学はこの「人の手の感覚」を診療に利用しなくなったのか。
昔から「手当て」という言葉があるくらい、人の手は古来より人を癒す方法として広まっていた。
レントゲンやCT、MRIではわからない体からの「声」。
腰痛の原因の8割が原因不明だと言われている。
体が訴える微細な変化を認識できるのは、機械ではなく人の手の感覚ではないか。
なぜそれをもっと生かそうとしないのか。
患者さんのもう一つの希望になり得るのに。
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