層触診。
JOPAのオステオパシー基礎訓練コースで初めて聞いた言葉である。
これがオステオパシーを実践する中で一番基礎になる部分である。
理学療法士の間では聞いたことがない言葉であった。
「層触診」とは、人の身体を一番表層から順番に深層に向けて触診し、その質感の違いなどを感じ取ることで、層ごとに触り分けることである。
人の身体は、一番表層から
表皮 → 真皮 → 脂肪層 → 浅筋膜 → 深筋膜 → 筋実質 → 骨膜 →
骨実質 → ・・・ といったように順番に触り分けられる。
それぞれ質感が異なり、ゆっくり慎重に手を沈めていけば誰でもその違いに気づける。
例えば、一番下から
鉄 → 木材 → 粘土 → スポンジ → ビニールシート → 毛布、
があれば、一番上の毛布に手を置いて、ゆっくり下に圧をかけていけば、ビニールシートのつるつるした感覚、スポンジの軽く沈む感覚、鉄のズシッと重い感覚、など順番に触りわけることができる。
ゆっくりと丁寧に手の下の構造物に意識を集中すれば、その質感の違いに気づける。
これを人の体の中で行うのである。
初めは2人1組で相手の腕に手を置き、ただただ感じるだけの練習。
これを何度も何度も行う。手の感覚が育っていないと自分が触知しているものが認識できない。
よくセミナーの講師の先生が言っていた。
「手は非常に優秀ですべての感覚を受信している。でも脳がそれを理解できない。」
今では海外講師や日本人講師のセミナーを何度も受けたが、新しく習うテクニックに苦戦するとき、結局この基礎である「層触診」に戻ってくる。
うまくいかない時はだいたいこの「層触診」ができていない。
しかし、この「層触診」は簡単に習得できるものではない。
となりでベテランのトレーナーに指導してもらい、感覚を共有してもらいながら、時間をかけて少しずつ少しずつ積み重ねていく必要がある。
まさに職人の世界である。
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