理学療法士として病院勤務している頃、患者さんの問題点について考える時、よく耳にした。
「~~に痛みがある」 → 「これは~~筋の筋力低下が原因だ」
「~~の動作ができない」 → 「それは~~の筋力が弱いからだ」
「筋力低下」という言葉。 ほんとによく聞いた。

これに対して学生の頃からずっと疑問に思っていた。
よくよく患者さんの話を聞くと、痛みがあるけど痛くない時間帯や痛みがましな日もある。
ほんとに筋力低下が原因なら時間や日によって症状が変わるか?
筋力が時間や日によって変わっているということ?
自分の中で納得がいかなかった。
しかし、手術や病気でベッドに寝ている時間が長く、いざ起きて歩く練習をしようとする場合。
寝ていたことで体の機能が落ちて、体重を支える力が不十分で関節痛が引き起こされる。(手術後の膝に体重をかけた際に痛みがある場合など)
これはわかる。これはたしかに筋力低下と呼んでいいと思う。
でも、普通に家で生活している50~60代の人で、右膝の痛みや腰痛がある場合。
このような場合でも、「原因は筋力低下」の一言で済ます理学療法士をたくさん見てきた。
それはさすがに無理があると思う。
どうして普通に歩いて生活している人の筋力が急に落ちるのか?
おそらくではあるが、「筋力低下」であってもらわないと困るのではないか、と考えている。
つまり治療者側・リハビリする側の都合である。
改善させる方法として「筋力トレーニング」しか自信をもって提案できないから、ではないか?
当然だが「筋力」はすぐには向上しない。週3回以上の中程度の負荷で約1~2か月取り組まないと成果としては表れにくい。
となると、すぐに症状が改善しなくても、「時間がかかるから」といってごまかせる。
あるいは良くならなかったとしても、「あなたが真面目にトレーニングをしていないから」と患者のせいにできる。
効果が出ない場合のことも考えた結果、「筋力低下」であってもらわないと困るのである。
100歩譲って、
違う原因があり痛みが起こる → 痛いのであまり出歩かない → 活動性が落ちる → 2次的に筋力が落ちる
これは理解できる。
筋力トレーニングを否定するつもりは一切ない。トレーニングは絶対した方がいい。
しかし、経験上、筋力トレーニングをしたから痛みが消えた人は見たことがない。
ではその本当の原因は何か?
まだまだ分からないことも多いが
その答えをオステオパシーを学び、見つけられそうである。
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